実家の登記事項証明書をオンライン請求!取得してみて分かったこと

不動産登記については、FP試験でも多く出題されます。

    【FP試験】不動産登記の主なポイント

    • 登記事項証明書の請求は法務局での直接請求以外にオンライン請求も可能。ただし、受け取りは法務局の窓口か郵送になる。
    • 不動産登記には公信力がないため、実際の権利関係を反映しない登記を信用して取引した者は法的に保護されない。
    • 権利部の甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の権利に関する事項が表示されている。

      出典:『うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版』日経BP 日本経済新聞出版

    私は80歳の母と二人暮らしですが、ある日、母が自宅の土地面積を知りたいと言ったことがきっかけで、実家の不動産の登記事項証明書を取得することにしました。

    本記事では、私の体験を交えながら登記事項証明書の種類や請求方法、オンライン請求の手順、登記事項証明書を実際に取得してみて分かったことなどを紹介していきます。

    私が登記事項証明書を請求した理由は?

    ある日、母が自宅の土地面積を知りたいと言いだしまして、はじめどのように調べたらよいのか思いつかなかったのですが、そう言えば登記事項証明書に地積(面積)の記載があったような…と思い出し、登記事項証明書をオンライン請求してみることにしました。(FP試験の勉強が役に立ちました!)
    余談ですが、母はなぜ急に土地面積を知りたくなったのかを言わないので(そんなことを言ったことも忘れている様子…)、理由はいまだ謎のままです。急に思いついて、何となく言ってみただけなのかもしれません。

    登記事項証明書が必要になるタイミング

    登記事項証明書は、以下のような土地・建物の売買、相続手続き、住宅ローンの契約時などで必要となります。

    • 購入を検討している不動産の情報を調べたいとき
    • 住宅ローンを利用するとき
    • 確定申告で住宅ローン控除を申請するとき
    • 不動産を売却するとき
    • 不動産を相続するとき

    参考元:【SUUMO】登記事項証明書の取得方法はオンライン?法務局?必要書類の書き方、全部事項証明書などの種類も目的別に解説

    登記事項証明書の種類

    不動産の登記事項証明書は、以下の4種類あります。
    ・全部事項証明書
    ・現在事項証明書
    ・一部事項証明書
    ・閉鎖事項証明書

    それぞれの記載内容や証明できる範囲は以下の通り。

    1. 全部事項証明書
      所有権の移転、抵当権の設定・抹消など、過去から現在まで、登記記録にある全ての事項が記載された証明書のこと(閉鎖登記記録を除く)。官公庁や金融機関に登記事項証明書の提出が求められたら、この全部事項証明書を提出すれば問題ない。
    2. 現在事項証明書
      以前の所有者や抹消された抵当権(担保権)が記載されず、現在の権利状況だけが分かるもの。現在の状況のみを把握したい場合は、現在事項証明書が見やすく分かりやすい。
    3. 一部事項証明書
      登記記録の一部が記載されているもの。例えば、大規模なマンションの敷地は権利者が多く、全部事項証明書では情報が膨大になる場合もある。そのため、自分の記録のみが必要な場合には一部事項証明書を請求するといい。
    4. 閉鎖事項証明書
      合筆された土地や滅失された建物など、閉鎖された土地や建物についての登記登録情報が記載されている証明書のこと。
    【SUUMO】登記簿謄本とは?オンラインで取得できる?登記事項証明書との違いや取得方法を解説

    ※オンライン請求できる証明書は、以下の3種類になります。
    ・全部事項証明書
    ・現在事項証明書
    ・閉鎖事項証明書

    登記事項証明書の請求方法と手数料

    登記事項証明書は、法務局の申請書に記入し(申請システムに入力し)、手数料を払えば誰でも自由に請求できます。請求には、3つの方法があります。

    • 登記所の窓口での請求 →【手数料】600円
    • オンラインでの請求 →【手数料】500円(郵送で受取り)、480円(窓口で受取り)
    • 登記所に郵送して請求 →【手数料】600円のほか、返信用の切手が必要

    また、【登記情報提供サービス】というパソコンやスマホで登記情報を確認できるサービス(有料)があることを後から知りました。私のように自宅の土地面積を確認する程度のことであれば、こちらのサービスを利用すればよかったかなと思います。

    オンライン請求のメリット

    自宅から登記所が遠かったり、日中仕事や家事などで忙しく登記所へ行くことが難しい場合は、オンライン請求がおすすめです。

    • 手数料が安い!
      上述のとおり、「窓口での請求」「郵送して請求」に比べて、手数料が安いです。
      受取りを郵送にすれば、登記所へ行くための交通費もかからず、移動時間も節約できて、更にお得です!
    • 平日夜21時まで請求可能!
      登記所の窓口業務は、平日午前8:30から午後5:15までですが、オンラインの場合には平日午前8:30から午後9:00まで請求可能です。
      ※午後5:15以降の請求は、翌業務日の午前8:30以降の受付となります。
      ※土・日、国民の祝日・休日、年末年始(12/29から1/3まで)は利用できません。
    • スマホやタブレットからも請求可能!
      パソコンだけでなくスマホからも請求できるので、自宅でのスキマ時間や会社での休憩時間などを利用して請求することができます。
      【登記・供託オンライン申請システム】利用環境

    「地番」「家屋番号」は事前確認が必要

    「地番」「家屋番号」とは、登記されている土地・建物ごとに法務局が付した番号で、住居表示(住所)とは異なるので注意が必要です。
    登記事項証明書の請求には、「地番」「家屋番号」が必要となりますので、請求前に確認しておく必要があります。

    Q.地番や家屋番号が分からない場合は,どのように不動産の登記事項証明書を請求すればよいですか。
    A.不動産の登記事項証明書を請求する場合には,不動産登記法上の登記事項である「地番」(土地の場合)又は「家屋番号」(建物の場合)を用いて当該不動産を特定する必要があり,住居表示に関する法律に基づく住居表示(住居番号)で当該不動産を特定することはできませんので,あらかじめ,お手元の登記済証(いわゆる権利証)や登記識別情報通知書,固定資産税に関する課税明細書等で「地番」や「家屋番号」を確認してください。

    【登記・供託オンライン申請システム】FAQ:申請(請求)データの作成,修正,再利用,削除

    オンライン請求の手順(パソコンの場合)

    パソコンからの請求手順をご紹介したいと思います。
    はじめてのかんたん証明書請求ガイド」は要点が簡潔に纏まっていて分かりやすく、こちらを確認しながら入力されるとよいと思います。申請者情報登録から納付までの流れが確認できるので、まず初めにざっと目を通されることをおすすめします。

    法務局【登記・供託オンライン申請システム】

    各種サービスの【かんたん証明書請求】(青いボタン) をクリックするとログイン画面に変わります。

    初めて利用する場合は【申請者IDをお持ちでない場合】(テキストリンク) をクリックして、申請者情報を登録します。

    申請者情報の登録が終わったら、請求書作成(請求したい不動産の情報入力)となります。
    はじめてのかんたん証明書請求ガイド」にも書いてありますが、【オンライン物件検索を使う】のほうをクリックします。地番・家屋番号が分かっていれば【物件情報を直接入力する】のほうでもよさそうですが、物件が正しく特定できなかったり、請求時に登記の申請中で証明書が請求できないこともあるようなので、【オンライン物件検索を使う】が推奨されているようです。

    不動産情報の入力で不明点などあれば、マニュアルがありますのでそちらを確認されるとよいと思います。
    オンライン登記情報検索サービス 不動産登記情報の検索

    ほかにも、FAQやマニュアル類が充実していますので、不明点・疑問点があれば調べられますし、サポートデスクに問い合わせることも可能です。
    FAQ・お問い合わせトップページ
    操作手引書のダウンロード ※【かんたん証明書請求・供託かんたん申請】→【不動産登記】

    【取得してみて分かったこと①】「権利部 乙区」の記載がない…

    不動産登記記録は、表題部と権利部に区分して作成されます。さらに権利部は、甲区と乙区に区分されています。

    表題部不動産の物理的な概要を表示土地所在・地番・地目(田畑、宅地など)・地積(面積)
    建物所在・家屋番号・種類・構造・床面積など
    権利部甲区所有権に関する事項を表示所有権保存登記、仮登記、所有権移転登記、差押えなど
    乙区所有権以外の権利に関する事項を表示抵当権、地上権、賃借権など
    不動産登記の構成

    出典:『うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版』日経BP 日本経済新聞出版

    実家の登記記録には、権利部 乙区の記載がありません。(甲区はあります)
    調べてみると、住宅ローンを組まず一括で不動産を購入した場合など乙区に該当する項目が発生していなければ、登記記録に乙区の記載がないこともあるそうです。たしかに欄外には「登記記録の乙区に記録されている事項はない」と注釈があります。
    母に確認したところ、やはり実家の不動産は金融機関からの融資を受けず、自己資金で一括購入したとのことでした。

    【取得してみて分かったこと②】所有者が亡くなった父のまま。相続登記されていないことが判明…

    実家の不動産の所有者は元々は父だったのですが、父は2020年に亡くなったので、現在の所有者は当然母だと思っていました。しかし、登記記録を見ると、いまだ父のままになっています。父が亡くなったあと、名義変更の手続き(相続登記)がされていなかったことが分かりました。
    相続登記は2024年4月1日から義務化されました。これは、2024年4月1日より前に相続した不動産についても適用されるそうです(泣)
    相続予定の不動産があるならば、早めに登記記録で所有者を確認しておくとよいかもしれません。

    参考元:【法務省】相続登記の申請義務化特設ページ

    まとめ

    「登記事項証明書はオンライン請求も可能」はFP試験の勉強を通して知ったことですが、日常生活で実際に役立てることができて、改めてFPの勉強をしておいて良かったと思いました。

    実家の登記事項証明書を実際に取得してみて、以下のことが分かりました。

    • 「権利部 乙区」の記載がない。乙区に該当する項目が発生していなければ、乙区の記載がない場合もある。
    • 所有者が亡くなった父のままになっている。名義変更の手続き(相続登記)がされていない。

    2024年4月1日から相続登記が義務化されたこともあるので、相続予定の不動産があるならば、早めに登記記録で所有者を確認しておくとよいかもしれません。

    最後までお読みいただきありがとうございます。本記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。

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